「真実(ヴェリティ)の帰還」への期待と不安
主人公が辛酸を舐める様子を主として描き、最後には彼(彼女)が報われるというストーリーは、勧善懲悪とからめるなどして、よくあるように思う。
虐げられる主人公に読者が感情移入していればいるほど、ハッピーエンドを迎えた瞬間に放出されるであろう脳内麻薬も大量に違いなく、「ファーシーアの一族」の読者の多くもクライマックスに期待を寄せているに違いない。
なんといっても、「ファーシーアの一族」の主人公フィッツの辛酸の舐めっぷりときたら、それはもう大変なもので、セーラ(*1)比で約6.85倍(*2)となっているのだから。
しかし、本当にそうか?
辛酸を舐めてこそのフィッツではないのか?(←だんだんオカシクなってきてる)
庶子という不遇
嫌がらせから殺意にエスカレートしてきた叔父リーガルの敵意
精神を破壊するような「技」の訓練
忌み嫌われている「気」への渇望
恋愛の自由も儘ならないぬ宮仕えの苦悩
そんな彼の苦労の一つ一つが見所となっているこのシリーズでは、それらを極上のブランデーを舌の上で転がすように味わうのが正しい読み方であるように思われる。(←そろそろヤバい)
すなわち、シリーズ最終巻となる「真実(ヴェリティ)の帰還」では、ヴェリティやケトリッケンなどの主要登場人物達にとってはハッピーエンドであっても、フィッツ・シヴァルリ・ファーシーアには辛酸を舐め続けてもらう必要があるのだ!(←やっぱり壊れた)
*1:フランシス・ホジソン・バーネット著「小公女」の主人公。辛酸は結構舐めるタイプ。
*2:俺調べ
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コメント
実際、フィッツくん、最後まで辛酸なめていそうな感じしますよね~。何だか、幸せになれそうな感じがしないんですもの…。
投稿 北沢友樹 | 2005.07.28 21:29
回顧録形式なので、「今」のフィッツの状況にも興味が沸きますよね。
辛酸ナメナメしてると良いなぁ。
投稿 Leon | 2005.07.29 18:07